Essay

ルシアの小さなお話 - 14

「アポロニータ」
- APOLONITA -


20th June,2003


 いかにもエンリケ・サマニエゴが作ったという特徴が随所に感じられます。
 エンリケ・サマニエゴは、私の恩師、クリスティーノ・バエス・モンヘスと同世代に活躍したアルピスタですが、アルピスタとしての傾向は、左手でリズムをしっかり刻み力強い奏法をする伝統派のクリスティーノとは少々違っていて、両手同時にメロディーを弾く奏法を得意としていました。
 1984年にパラグアイに長期滞在していたときに、私はクリスティーノのほかにエンリケにも師事していました。実はクリスティーノとエンリケとはあまり仲がよくなかったのですが、クリスティーノに相談したところ、自分と傾向が違う奏法を学ぶのは良いことだからと許可してくれたのです。

 さて、裏話ですが、ある日、この曲について直接エンリケに尋ねてみると、「ウルグアイへ行っていたとき、知り合いから娘の誕生日に曲を作ってくれないかと頼まれたんだ。曲名はその娘の名前なんだよ」という返事。それまで私はずっと「ア・ポロニータ=ポロニータに捧ぐ」とばかり思い込んでいました。「アカエ・パラ」を「赤いバラ」と思っていた人がついこの間までいましたが、私にだって思い込みはあるんですよ。訊くはいっときの恥と言いますね。
 またその裏話。エンリケはプレゼント用としてそのとき2曲作曲したそうです。それをその娘の父親に聴かせると、この曲のほうを選び曲名を「アポロニータ」としました。そして選ばれなかった曲は後になって「BRISA GUAIRENA=グアイラのそよ風」という曲名で発表されました。



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